根管治療を受けたのに、噛むと痛かったり歯を押すと違和感があったりして心配される方がいらっしゃいます。

こんにちは。蚕室セネ 延世建浩歯科 歯科補綴科専門医のキム・ゴンミンです。

根管治療後、数日間痛みが残るのは回復の過程で起こりうる反応です。ただし、痛みが強くなったり歯ぐきが腫れたりする場合は、原因をあらためて確認する必要があります。

 

1. 根管治療後の痛みは、いつまでなら正常ですか?

根管治療後、数日間は歯を押したり噛んだりすると違和感があることがあります。一般的に痛みが徐々に軽くなっていくのであれば回復の過程と考えられますが、個人差があります。

根管治療は、歯の内部の感染した組織を除去して消毒した後、封鎖する治療です。歯の内側の神経を除去しても、根の周りの歯槽骨(歯ぐきの骨)や歯根膜には感覚が残っています。

そのため、治療後に歯を叩いたり噛んだりすると、重だるく感じることもあります。

 

根管治療後に歯の根の周りの組織で圧痛が生じうる構造を示した奥歯の断面イラスト

 

根管治療の期間と痛みが消える時期も、必ずしも一致するわけではありません。治療が終わっても、周囲の組織が回復するには時間が必要だからです。

ただし、根管治療をした歯で冷たい水がしみる症状が続く場合は、隣の歯やほかの原因も確認する必要があります。

 

 

2. 根管治療後に痛みが再び出たり強くなったりしたら、どうすればよいですか?

痛みが軽くなっていたのに再び強くなったり、歯ぐきが腫れたりする場合は、単なる回復時の痛みとして見過ごさないようにしましょう。歯の根の周りの炎症や噛む力の問題などを見分ける必要があります。

特に確認が必要なサインは、大きく4つです。

  • 痛みが徐々に強くなったり、強い圧迫感が続いたりする場合
  • 歯ぐきが腫れたり、おできのように膨らんだりする場合
  • 根管治療前と似た痛みが再び現れる場合
  • その歯がほかの歯より先に当たったり、噛むときに特に違和感があったりする場合

 

根管治療後の正常な回復状態と、歯の根の先に炎症が残った状態を比較した奥歯の断面

 

こうした症状があるからといって、必ずしも根管治療がうまくいかなかったわけではありません。噛み合わせの問題である場合もあれば、根の周りに炎症が残っている場合もあります。

当院では必要に応じて、レントゲンとCBCT(歯科用コーンビームCT)の画像で根の先の炎症の範囲と周囲組織を確認します。痛みの原因をまず見分けてこそ、次の治療も決めることができるからです。

 

 

3. 根管治療後の食事・飲酒・喫煙・歯磨きはどうすればよいですか?

麻酔が切れてから食事をし、最終的な補綴治療までは治療した歯で硬い食べ物を噛まないのがよいでしょう。歯磨きは普段どおりに行いつつ、治療部位はやさしくケアする必要があります。

生活上の管理で覚えておきたいポイントは、大きく4つです。

  • 食事: 麻酔が完全に切れてから、やわらかい食べ物から召し上がってください。硬い食べ物や粘り気のある食べ物は避けたほうがよいでしょう。
  • 飲酒: 回復中はできるだけ控え、処方された薬がある場合は、その薬ごとの飲酒に関する注意事項に従ってください。
  • 喫煙: 組織の回復を妨げる可能性があるため、避けるのがよいでしょう。
  • 歯磨き: 治療部位を強くこすりすぎず、歯ブラシとデンタルフロスで清潔に保ってください。

痛みがある場合は、案内を受けた痛み止めを服用指示に従って使用してください。

私が補綴治療でも重視しているのは、歯を長く使える環境をつくることです。治療直後は特に、噛む力が片側の歯に集中しないよう注意が必要です。

 

 

4. 根管治療後、仮に詰めておいた歯が取れたり欠けたりしたら、どうすればよいですか?

仮詰めは、根管治療中に歯の内部へ食べ物や唾液が入らないよう保護する役割を果たします。仮詰めがまるごと取れたり大きく欠けたりした場合は、あらためて確認が必要です。

仮詰めは最終的な補綴物とは目的が異なります。次の治療まで歯の内部を保護するための材料なので、表面が少しすり減ったり、薄い層が剥がれたりすることもあります。

しかし、仮詰めが完全に取れて内部が露出している場合は、そのまま放置しないほうがよいでしょう。

また、仮に詰めておいた歯は、強い噛む力に耐えにくい場合があります。

私は根管治療後の補綴を計画する際、まず残っている歯質を確認します。仮詰めの状態で歯が欠けてしまうと、その後に選べる補綴方法も変わる可能性があるからです。

 

 

5. 根管治療後のクラウンは必ず必要ですか?いつ被せるのですか?

根管治療をしたからといって、すべての歯にクラウンが必要なわけではありません。重要なのは、健全な歯質がどれだけ残っていて、噛む力に耐えられる構造かどうかを判断することです。

患者さんからよくこのように聞かれます。

「根管治療の後もう痛くないのですが、必ず何かを被せないといけないのですか?」

ここでまずご説明していることがあります。根管治療をした歯が弱くなる理由は、単に神経を除去したからだけではありません。

 

すでに大きなむし歯やひび、繰り返された治療によって、歯質が多く失われていることが少なくありません。

特に奥歯は噛む力を多く受けます。歯の尖って盛り上がった部分である咬頭や、残っている壁が薄い場合は、噛む過程で欠けるおそれがあります。

補綴を決める際に確認する基準は次のとおりです。

 

歯の状態検討できる修復の方向性
健全な歯質が十分にあり、ひびがない場合直接修復(コンポジットレジン充填など)など保存的な方法を検討
歯の壁は比較的十分に残っているが、咬頭の保護が必要な場合オーバーレイを検討
歯の損傷が大きい、または複数の咬頭が弱くなっている場合クラウンを検討
歯質が多く失われ、補綴物の支えが不足している場合必要に応じてポストとコアを検討

 

オーバーレイは、歯全体を被せずに必要な部分を覆う方法です。ただし、削る量が少ないからといって、必ずしもよい治療というわけではありません。

残した歯が再び欠けないための長期的な設計のほうが大切です。

 

根管治療後に残った健全な歯質に応じて、オーバーレイとクラウンで奥歯を保護する方法の比較

 

最終的な補綴は、根管治療が終わった後に歯の状態を評価し、できるだけ遅らせずに進めるのが一般的です。具体的な時期は、歯の状態と治療計画によって異なります。

根管治療後に補綴をせず長く放置すると、歯の破折や内部の再汚染のリスクが生じることがあります。

クラウン・インレー・アンレーのページで、修復方法ごとの違いをより詳しく説明しています。

 

 

6. 再根管治療の後にも痛みが残ることはありますか?経過はどのように確認しますか?

再根管治療の後にも、一時的な圧痛が残ることがあります。痛みが軽くなったからといって、根の先の炎症まですべて回復したという意味ではありません。

再根管治療は、以前に根管治療を受けた歯の内部をもう一度確認し、感染が疑われる部分を処置する治療です。

 

延世建浩歯科では、難しい根管治療の場合、歯科保存科専門医のハン・スンウォン院長がマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いて根管治療と再根管治療を担当しています。

その後は、痛みや腫れの変化と、レントゲンで見える根の先の組織の変化をあわせて確認します。回復の経過は、もともとの炎症の範囲や歯・歯槽骨の状態によって異なります。

私は補綴科の観点から、この歯が治療後も噛む力に耐えながら長く維持できるかどうかをあわせて判断します。

再根管治療が必要になる原因とマイクロスコープの役割は、マイクロスコープ根管治療・再根管治療のページでご確認いただけます。

 

 

おわりに

根管治療後に痛みが残るからといって、必ずしも問題が起きているわけではありません。ただし、痛みの変化と歯の状態をあわせて確認することが必要です。

私は多く手を加える治療よりも、歯を大切に使い続ける治療を考え、残っている天然歯をどう守るかをまず考えます。

蚕室セネ 延世建浩歯科 歯科補綴科専門医のキム・ゴンミンでした。